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協力工場・提携工場
・協力工場は自社と同一、自分の会社の一部という感覚である。
・繁忙期には、提携工場から人員を集めて対処できる体制になっている。
・協力工場を使うとコスト高となる部分もあるが、納期の集中対応のメリットが大きい。
・協力工場には規格の統一(サッシ等)を指導している。
・修理専門の提携工場を有する。
今回のヒアリングでは、各造船所ともに協力工場・提携工場を有していることが分かった。協力工場に対して、自社と一体、自分の会社の一部という感覚を持っている業者もあり、非常に強固な関係が構築されていることが分かった。また、繁忙期には、提携工場から人員を集めて対処できる体制になっているとの事例もあり、有機的な結びつきを保持していることが考えられる。
こうした協力工場を持つことのメリットとして多くあげられたのは、時期的に集中傾向にある納期に対応できる点であり、作業効率を高め、回転率の向上が要求される作業船分野に適した事業環境の構築が図られている。また、機能分担や繁忙時の人員バッファーとして短納期対策を推進している造船所もあった。
協力工場に対しては、サッシ等の規格の統一化を指導しているなどの事例もあった。
また、アフターメンテナンス専門やブロック加工専門の提携工場など、役割・機能分担が図られている事例もあり、企業間の結合により効率化が図られている姿を認識することができた。
中国事情
・今後は、半製品(台船部)の状態のものであれば、中国製か作業船市場に流入してくるであろう。
・中国船も日本の大手造船会社等からの技術指導等を受け、技術を高めてきている。
・中国に駐在員を置いている。
・台船部については、今後は中国で8割建造し、日本で仕上げるといった仕組みを構築したい。
兵庫県内の3造船所が最も注目、警戒しているのが中国における船舶の建造である。中国では、?鞄?立造船や?且O菱重工業、?劾KKといった大手造船所等が研修員の受入や技術指導を行った結果、ここ数年で技術レベルが急上昇しており、技術者や職人の定着性という問題点は指摘されるものの、人件費が日本の約20分の1程度という優位性を最大限活かして今後日本国内の非自航船を席巻するという危機感が強い。
さらには、日本国内からの輸出鋼材の内外価格差(交渉窓口を一本化しているため、中国の方が日本国内製鋼材をトン当たり1万円程度安く入手できる)や、艤装品の品質の向上(JISで規定されている品目であれば、国内生産品と見劣りしない程度まで品質が向上している)といった要素もヒアリングでうかがえ、予断を許さない状況であることが把握できた。
また、これら造船所の中には、今後の国内での人員確保の困難化を見越して、中国に駐在員を置いているといった事例や、今後の取り組みとして、台船部に関しては中国で8割程度建造し、日本で最終的な仕上げを行う体制を築きたいと考えている業者もあり、中国での安価な労働力を積極的に活用していこうとする兆しもみられる。

 

 

 

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